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発生野帳
HASSEI YACHO

場所を見つけ、作品を持ち込み、展示する。
観客を限定することもあれば、誰もいないこともある。
作品、場所、人、その間に発生した状態を観測し、記録する。

2026–

発生野帳 #003|北陸新幹線 はくたか|2026.08.12

DATE 2026.08.12
PLACE 北陸新幹線 はくたか車内
WEATHER 晴れ
WORKS 発生野帳 #003(paper, pencil)
AUDIENCE 2
DURATION 約10分

OBSERVE 山を見る。緑を見る。水田を見る。記憶を呼び起こす。描く。

富山から北海道へ戻る途中、北陸新幹線の車窓から山と水田を見る。

山の形。
緑の濃さ。
水田の稲穂。

福光で見た棟方志功の《華厳松》や、水田の風景も記憶の中に残っていた。

車窓を見ながら描いたのではない。
見たものを記憶の中から取り出して描く。

移動する車内で、記憶の中の富山の風景を描いている。

隣の席の息子たちが絵を覗き込み、

「面白いね」

と言った。

見た風景が、記憶の中で別の風景になる。
移動しながら、その変化を描く。

発生野帳 #002|帯広―東京・東京駅|2026.08.07

DATE 2026.08.07
PLACE 帯広―東京・機内/東京駅構内
WEATHER 晴れ
WORKS 発生野帳 #002(paper, pencil)
AUDIENCE 移動する人々
DURATION 約10分

OBSERVE 飛行機の中で描く。東京駅で広げる。人の流れの中に置く。

帯広から東京へ向かう飛行機の中で描いた。

移動する時間の中で線を置く。
描いたのは、空港まで向かう路上の蕗。

東京に着き、駅の構内でその絵を広げる。

さっきまで飛行機の中にあった小さなドローイングを、今度は東京駅を行き交う人々の中に置いてみる。

人は立ち止まらず、通り過ぎていく。

飛行機の中で発生したドローイングが、東京駅という別の場所へ移動する。

イメージの発端の場所と、描く場所、作品が現れる場所が変わる。
移動する身体とともに、絵も移動する。

発生野帳 #001|studio VALOS|2026.08.04

DATE 2026.08.04
PLACE studio VALOS
WEATHER 晴れ
WORKS 際 #01–03 B1 × 3 / F15 × 3 / F30 × 2 + S25 × 2(paper, pencil)/ 春分 #01–07 F4 × 7(布・糸)
AUDIENCE 1
DURATION 約2時間30分


OBSERVE 作品を見る。並べる。光を変える。撮る。歩く。影が残る。

個展を終えた作品を持って、写真家・戸張良彦さんのスタジオを訪ねた。

当初は作品を見てもらうだけのつもりだった。B1の3点をイーゼルに置き、位置を変えながら眺める。自然光、照明、光の方向によって、鉛筆の線の見え方が変わる。

作品を並べているうちに戸張さんがカメラを取り出した。撮影が始まり、「そこを歩いてみて」と言われる。作品の後ろを歩く。前を歩く。シャッターが切られる。人の姿は薄くなり、影と動きだけが画面に残った。

作品を見せに行ったはずが、いつの間にか別の何かが始まっていた。

予定していなかった撮影と、作品、人、光のあいだに生じた変化。

これを「発生」として記録しておく。

Photo: 戸張良彦

#001
DATE:2026.08.04
PLACE:十勝某所/スタジオ
AUDIENCE:1
STATUS:COMPLETED

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